2015年1月4日日曜日

『ぞうのババール こどものころのおはなし』 こんな本読んでいます。

5歳児長女が今日持ってきたのが『ぞうのババール こどものころのおはなし』です。我が家においてからたまに持ってくるのですが私はどうも好きになれない一冊です。自分で渡しておいてなんですが・・・

ぞうのババールシリーズの1冊目にあたる本です。有名だったけど、あまり読んだ記憶がなく、初めて読み聞かせたときは「へー」という驚きがありました。ストーリーとしては、かあさんぞうと幸せに暮らしていたババールが、ある日悪い狩人にかあさんがやられ人間の町まで逃げいてきます。そこで、ぞうの気持ちの分かるお金持ちのおばあさんに出会い、服を買ってもらい、一緒に住み教育も受けます。そして、森に戻ったときにちょうど王様が亡くなったところで、ババールは新しい王様になります。という、ババールが王様になる顛末が書かれた1冊です。

あらかじめ断っておきますが、私はファンタジーは大好きです。作品ごとに世界があり、動物が服を着ることも、動物と人間が一緒に暮らすことも、王様がいることもファンタジーの世界として受け入れています。

でも、この『そうのババール』を読むと違和感がある、好きになれないのです。かあさんを殺したのは狩人=人間なのに、人間の町にババールはなぜあこがれるのでしょうか?人間のまちはなぜ西洋風の人たちの住む町なのでしょうか?人間のまちで暮らしたからという理由でババールは王様になりますが、人間のまちでの知恵がなぜ評価されるのでしょうか?

考えてみると、この作品はファンタジーになりきれていないように思います。作品が書かれた時代、場所というものが見えすぎてしまうように思います。つまり、 フランスがアフリカを植民地として、現地の一部の子弟を本国で教育し、帰国後は植民地の支配層とする・・・という植民地支配の構図がこの絵本から見えすぎてしまうのです。それをこの絵本は何の吟味も葛藤もなく肯定している、そのことに読んでいて違和感を感じるし、ストーリーに物足りなさを感じる原因にもなっているように思います。

絵のかわいさと表面的なストーリーのおもしろさは評価できますが、ストーリーに深さはなく、この本がロングセラーで今も人気があるからこそ厳しくいいますが、21世紀に読み継がれるほどの価値は有していないと思います。

勝手におすすめ度 ☆☆☆☆☆☆

『ぞうのババール こどものころのおはなし』ジャン・ド・ブリュノフ作絵、評論社(1974年)

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